平成27年-問7 憲法 財政
Lv2
問題 更新:2023-01-30 18:36:48
財政に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 国費の支出は国会の議決に基づくことを要するが、国による債務の負担は直ちに支出を伴うものではないので、必ずしも国会の議決に基づく必要はない。
- 予算の提出権は内閣にのみ認められているので、国会は予算を修正することができず、一括して承認するか不承認とするかについて議決を行う。
- 予見し難い予算の不足に充てるため、内閣は国会の議決に基づき予備費を設けることができるが、すべての予備費の支出について事後に国会の承認が必要である。
- 予算の公布は、憲法改正・法律・政令・条約の公布と同様に、憲法上、天皇の国事行為とされている。
- 国の歳出の決算は毎年会計検査院の検査を受けなければならないが、収入の見積もりにすぎない歳入の決算については、会計検査院の検査を受ける必要はない。
正解 3
解説
国費の支出は国会の議決に基づくことを要するが、国による債務の負担は直ちに支出を伴うものではないので、必ずしも国会の議決に基づく必要はない。 1.妥当でない。
憲法85条は、「国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。」と規定し、民主主義を貫いている。
よって、国が債務の負担をするには、国会の議決に基づくことが必要である。
なお、債務を負担する場合の国会の議決には「法律」と「予算」がある。
予算の提出権は内閣にのみ認められているので、国会は予算を修正することができず、一括して承認するか不承認とするかについて議決を行う。 2.妥当でない。
「国会は予算を修正することができず、一括して承認するか不承認とするかについて議決を行う。」という部分は妥当でない。
確かに予算は内閣によって作成され、国会の審議・議決を受けることによって成立するが、国会は議決に際し、原案を廃除削減する修正を行うことも、増加する修正も行うことができる。
予見し難い予算の不足に充てるため、内閣は国会の議決に基づき予備費を設けることができるが、すべての予備費の支出について事後に国会の承認が必要である。 3.妥当である。
憲法87条1項は「予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる」とし、2項は「すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない」としている。
なお、予備費については、明治憲法にも規定があり、それによると予備費を設けることは義務であった。
予算の公布は、憲法改正・法律・政令・条約の公布と同様に、憲法上、天皇の国事行為とされている。 4.妥当でない。
憲法7条1号は、天皇の国事行為として「憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること」を定めており、予算の公布については規定されていない。
国の歳出の決算は毎年会計検査院の検査を受けなければならないが、収入の見積もりにすぎない歳入の決算については、会計検査院の検査を受ける必要はない。 5.妥当でない。
「歳入の決算については、会計検査院の検査を受ける必要はない」とする部分は妥当でない。
憲法90条1項は、「国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。」と規定している。