平成27年-問26 行政法 その他
Lv2
問題 更新:2023-01-30 19:10:04
国家公務員に対する制裁措置に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 一般職公務員に対する懲戒処分については、人事院がすべての職種について処分基準を定め、これに基づいて処分を行う。
- 一般職公務員に対する懲戒処分については、職務上の行為だけでなく、職務時間外の行為も処分理由となりうる。
- 一般職公務員について、勤務実績がよくない場合には、懲戒処分の対象となりうる。
- 一般職公務員に対する法律上の懲戒処分の種類は、免職・降任・休職・減給の4種類である。
- 一般職公務員に対して課されている政治的行為の制限に違反した場合、懲戒処分の対象となるが、罰則は定められていない。
正解 2
解説
一般職公務員に対する懲戒処分については、人事院がすべての職種について処分基準を定め、これに基づいて処分を行う。 1.誤り。
人事院が処分を行うとする本肢は誤り。
条文は「懲戒処分は、任命権者が、これを行う」としている(国家公務員法84条1項)。
なお、懲戒処分とは「免職、停職、減給又は戒告」の処分のことであり、国家公務員法82条1項によると、次の場合に懲戒処分となる。
① 国家公務員法もしくは国家公務員倫理法又はこれらの法律に基づく命令・・・に違反した場合
② 職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合
③ 国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合
一般職公務員に対する懲戒処分については、職務上の行為だけでなく、職務時間外の行為も処分理由となりうる。 2.正しい。
肢1解説の枠内を参照。
条文によると「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合」も懲戒の対象である(国家公務員法82条1項3号)。
この「非行」であるが、職務時間外の行為も処分理由となりうる。
人事院事務総長発の「懲戒処分の指針について」において、「公務外非行関係」として、暴行や傷害などをした場面についての規定が存在している。
一般職公務員について、勤務実績がよくない場合には、懲戒処分の対象となりうる。 3.誤り。
懲戒処分の対象に勤務実績がよくない場合は含まれていない。
肢1解説の枠内を参照。
なお、「勤務実績がよくない場合」は分限の対象であり、降任又は免職の可能性がある(国家公務員法78条)。
分限の対象になるのは以下である。
① 人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、勤務実績がよくない場合
② 心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合
③ その他その官職に必要な適格性を欠く場合
④ 官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合
一般職公務員に対する法律上の懲戒処分の種類は、免職・降任・休職・減給の4種類である。 4.誤り。
懲戒処分とは「免職、停職、減給又は戒告」であり、「降任・休職」は懲戒処分ではない。
肢1解説を参照。
一般職公務員に対して課されている政治的行為の制限に違反した場合、懲戒処分の対象となるが、罰則は定められていない。 5.誤り。
職員は、政党又は政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法をもってするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除く外、人事院規則で定める政治的行為をしてはならない(国家公務員法102条1項)。
そして当該規定に反し、政治的行為の制限に違反した場合は罰則が定められている(国家公務員法110条1項19号参照)。