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平成27年-問27 民法 総則

Lv3

問題 更新:2023-01-30 19:13:15

制限行為能力者に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものの組合せはどれか。

ア.家庭裁判所が後見開始の審判をするときには、成年被後見人に成年後見人を付するとともに、成年後見人の事務を監督する成年後見監督人を選任しなければならない。

イ.被保佐人がその保佐人の同意を得なければならない行為は、法に定められている行為に限られ、家庭裁判所は、本人や保佐人等の請求があったときでも、被保佐人が法に定められている行為以外の行為をする場合にその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることはできない。

ウ.家庭裁判所は、本人や保佐人等の請求によって、被保佐人のために特定の法律行為について保佐人に代理権を付与する旨の審判をすることができるが、本人以外の者の請求によってその審判をするには、本人の同意がなければならない。

エ.家庭裁判所は、本人や配偶者等の請求により、補助開始の審判をすることができるが、本人以外の者の請求によって補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない。

オ.後見開始の審判をする場合において、本人が被保佐人または被補助人であるときは、家庭裁判所は、その本人に係る保佐開始または補助開始の審判を取り消す必要はないが、保佐開始の審判をする場合において、本人が成年被後見人であるときは、家庭裁判所は、その本人に係る後見開始の審判を取り消さなければならない。

  1. ア・イ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. ウ・エ
  5. エ・オ
  解答&解説

正解 4

解説

家庭裁判所が後見開始の審判をするときには、成年被後見人に成年後見人を付するとともに、成年後見人の事務を監督する成年後見監督人を選任しなければならない。 ア.誤り。

後見監督人は必ずしも選任しなければならないわけではない。

後見監督人とは、後見人の事務を監督する等を職務とする者である(民法851条)。
家庭裁判所は、必要があると認めるときは、被後見人、その親族若しくは後見人の請求により又は職権で、後見監督人を選任することができる(民法849条)。

弁護士等の専門職が後見人を務める場合などは後見監督人まで必要ないことが多い。

被保佐人がその保佐人の同意を得なければならない行為は、法に定められている行為に限られ、家庭裁判所は、本人や保佐人等の請求があったときでも、被保佐人が法に定められている行為以外の行為をする場合にその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることはできない。 イ.誤り。

家庭裁判所は、保佐人等の請求により、被保佐人が民法13条1項各号に掲げる行為以外の行為をする場合であっても、その保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる(民法13条2項)。

被保佐人とは、精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分(実質面の要件)である者で、家庭裁判所により、保佐開始の審判を受けた(形式面の要件)者である(民法11条)。

被保佐人には保佐人がつけられるが、保佐人の権限は「同意権」であって、後見人のような広範な「代理権」はない。
被保佐人は自ら判断することができないわけではないので、本人の判断を尊重するべきだからである。
また被保佐人の生活状況・財産状況は各人によって異なるから、家裁の判断で保佐人に同意権を追加で与えることができるようになっている。

家庭裁判所は、本人や保佐人等の請求によって、被保佐人のために特定の法律行為について保佐人に代理権を付与する旨の審判をすることができるが、本人以外の者の請求によってその審判をするには、本人の同意がなければならない。 ウ.正しい。

家庭裁判所は、保佐人等の請求によって、被保佐人のために特定の法律行為について保佐人に代理権を付与する旨の審判をすることができる(民法876条の4第1項)。
本人以外の者の請求によって当該審判をするには、本人の同意がなければならない(民法876条の4第2項)。

保佐開始の審判を受ける場面では、被保佐人になる者(つまり本人)の同意は不要であるのが通常である。
保佐開始の審判は本人の保護につながるものであるし、本人は事理を弁識する能力が著しく不十分なのだから、この時点で本人の同意を求めるのは適切ではないためである。

しかし、保佐人に代理権が与えられると、本人に事理弁識能力があるにも関わらず、保佐人の行為によって被保佐人に法律効果が帰属してしまう。
したがって保佐人に代理権を付与するにあたっては本人の同意が必要なのである。

家庭裁判所は、本人や配偶者等の請求により、補助開始の審判をすることができるが、本人以外の者の請求によって補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない。 エ.正しい。

精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判をすることができる(民法15条1項)。
本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない(民法15条2項)。

被補助人とは、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分(実質面の要件)である者で、家庭裁判所により、補助開始の審判を受けた(形式面の要件)者である(民法15条1項)。

被補助人は被保佐人以上に事理弁識能力があり、身の周りのことは自分でできる状態である。
通常の状態に近い事理弁識能力を有する本人の意思を尊重するため、本人以外の者の請求によって補助開始の審判をするには、本人の同意が必要なのである。

後見開始の審判をする場合において、本人が被保佐人または被補助人であるときは、家庭裁判所は、その本人に係る保佐開始または補助開始の審判を取り消す必要はないが、保佐開始の審判をする場合において、本人が成年被後見人であるときは、家庭裁判所は、その本人に係る後見開始の審判を取り消さなければならない。 オ.誤り。

後見開始の審判をする場合において、本人が被保佐人又は被補助人であるときは、家庭裁判所は、その本人に係る保佐開始又は補助開始の審判を取り消さなければならない(民法19条1項)。

また、民法19条1項の規定は、保佐開始の審判をする場合において本人が成年被後見人若しくは被補助人であるとき、又は補助開始の審判をする場合において本人が成年被後見人若しくは被保佐人であるときについて準用する(民法19条2項)。

後見、保佐、補助は、それぞれの本人の事理弁識能力も違えば、後見人等監護者の権限も異なるため、制度を二重に走らせることはしないのである。

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