平成27年-問43 多肢選択式 行政法
Lv1
問題 更新:2023-11-14 17:55:54
次の文章は、ある最高裁判所判決の一節である。空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。
建築確認申請に係る建築物の建築計画をめぐり建築主と付近住民との間に紛争が生じ、関係地方公共団体により建築主に対し、付近住民と話合いを行って円満に紛争を解決するようにとの内容の行政指導が行われ、建築主において[ ア ]に右行政指導に応じて付近住民と協議をしている場合においても、そのことから常に当然に建築主が建築主事に対し確認処分を[ イ ]することについてまで[ ア ]に同意をしているものとみるのは相当でない。しかしながら、・・・関係地方公共団体において、当該建築確認申請に係る建築物が建築計画どおりに建築されると付近住民に対し少なからぬ日照阻害、風害等の被害を及ぼし、良好な居住環境あるいは市街環境を損なうことになるものと考えて、当該地域の生活環境の維持、向上を図るために、建築主に対し、当該建築物の建築計画につき一定の譲歩・協力を求める行政指導を行い、建築主が[ ア ]にこれに応じているものと認められる場合においては、[ ウ ]上合理的と認められる期間建築主事が申請に係る建築計画に対する確認処分を[ イ ]し、行政指導の結果に期待することがあつたとしても、これをもつて直ちに違法な措置であるとまではいえないというべきである。
もつとも、右のような確認処分の[ イ ]は、建築主の[ ア ]の協力・服従のもとに行政指導が行われていることに基づく事実上の措置にとどまるものであるから、建築主において自己の申請に対する確認処分を[ イ ]されたままでの行政指導には応じられないとの意思を明確に表明している場合には、かかる建築主の明示の意思に反してその受忍を強いることは許されない筋合のものであるといわなければならず、建築主が右のような行政指導に不協力・不服従の意思を表明している場合には、当該建築主が受ける不利益と右行政指導の目的とする公益上の必要性とを比較衡量して、右行政指導に対する建築主の不協力が[ ウ ]上正義の観念に反するものといえるような[ エ ]が存在しない限り、行政指導が行われているとの理由だけで確認処分を[ イ ]することは、違法であると解するのが相当である。
(最一小判昭和60年7月16日民集39巻5号989頁)
- 強制
- 慣習法
- 社会通念
- 特段の事情
- 通知
- 悪意
- 事実の認定
- 法令の解釈
- 併合
- 衡平
- 善意
- 政策実施
- 任意
- 適用除外
- 却下
- 先例
- 拒否
- 審査請求
- 留保
- 信頼保護
- ア
-
- イ
-
- ウ
-
- エ
-
正解
- ア13
- イ19
- ウ3
- エ4
解説
ア:13(任意)、イ:19(留保)、ウ:3(社会通念)、エ:4(特段の事情)
空欄に補充した文章は以下のとおり。
建築確認申請に係る建築物の建築計画をめぐり建築主と付近住民との間に紛争が生じ、関係地方公共団体により建築主に対し、付近住民と話合いを行って円満に紛争を解決するようにとの内容の行政指導が行われ、建築主において[ア:任意]に右行政指導に応じて付近住民と協議をしている場合においても、そのことから常に当然に建築主が建築主事に対し確認処分を[イ:留保]することについてまで[ア:任意]に同意をしているものとみるのは相当でない。しかしながら、・・・関係地方公共団体において、当該建築確認申請に係る建築物が建築計画どおりに建築されると付近住民に対し少なからぬ日照阻害、風害等の被害を及ぼし、良好な居住環境あるいは市街環境を損なうことになるものと考えて、当該地域の生活環境の維持、向上を図るために、建築主に対し、当該建築物の建築計画につき一定の譲歩・協力を求める行政指導を行い、建築主が[ア:任意]にこれに応じているものと認められる場合においては、[ウ:社会通念]上合理的と認められる期間建築主事が申請に係る建築計画に対する確認処分を[イ:留保]し、行政指導の結果に期待することがあつたとしても、これをもつて直ちに違法な措置であるとまではいえないというべきである。
もつとも、右のような確認処分の[イ:留保]は、建築主の[ア:任意]の協力・服従のもとに行政指導が行われていることに基づく事実上の措置にとどまるものであるから、建築主において自己の申請に対する確認処分を[イ:留保]されたままでの行政指導には応じられないとの意思を明確に表明している場合には、かかる建築主の明示の意思に反してその受忍を強いることは許されない筋合のものであるといわなければならず、建築主が右のような行政指導に不協力・不服従の意思を表明している場合には、当該建築主が受ける不利益と右行政指導の目的とする公益上の必要性とを比較衡量して、右行政指導に対する建築主の不協力が[ウ:社会通念]上正義の観念に反するものといえるような[エ:特段の事情]が存在しない限り、行政指導が行われているとの理由だけで確認処分を[イ:留保]することは、違法であると解するのが相当である。
(最一小判昭和60年7月16日民集39巻5号989頁)