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  4. 問7

平成26年-問7 憲法 その他

Lv4

問題 更新:2023-01-30 20:43:09

法令相互の関係に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 刑罰の制定には法律の根拠が必要であるから、条例で罰則を定めるためには、その都度、法律による個別具体的な授権が必要である。
  2. 国会による条約の承認には、予算と同様の衆議院の優越が適用され、法律の議決の方がより厳格な手続を要するので、条約の国内法的効力は、法律に劣る。
  3. 法律の委任がなければ、政令によって国民に義務を課し、もしくはその権利を制限することはできないが、緊急の必要がある場合、国会の事後の承認を条件に、そのような定めを政令で行うことは、必ずしも違憲とはいえない。
  4. 最高裁判所は、裁判所の内部規律・司法事務処理に関し規則を制定することができるが、訴訟手続や弁護士に関する定めは法律事項であるから、規則で定めることはできない。
  5. 憲法は両議院に対し自律権を認め、議院内部の事項について自主的に議事規則を定める権能を伴与しているが、国会法は、両議院と政府等の関係や議院相互の関係にとどまらず、議院内部の事項をも規定している。
  解答&解説

正解 5

解説

刑罰の制定には法律の根拠が必要であるから、条例で罰則を定めるためには、その都度、法律による個別具体的な授権が必要である。 1.妥当でない。

条例で刑罰を定める場合は、必ずしも法律による具体的な授権を要するわけではない。

判例は「条例は、法律以下の法令といっても、上述のように、公選の議員をもって組織する地方公共団体の議会の議決を経て制定される自治立法であって、行政府の制定する命令等とは性質を異にし、むしろ国民の公選した議員をもって組織する国会の議決を経て制定される法律に類するものであるから、条例によって刑罰を定める場合には、法律の授権が相当な程度に具体的であり、限定されておればたりると解するのが正当である(最大判昭和37年5月30日)」としている。

内閣とは異なり、地方公共団体の議会の議員は住民の選挙によって選ばれた、より民主的な存在であるからである。

国会による条約の承認には、予算と同様の衆議院の優越が適用され、法律の議決の方がより厳格な手続を要するので、条約の国内法的効力は、法律に劣る。 2.妥当でない。

条約と憲法との間の効力の優劣については争いがあるが、条約の国内法的と法律に関しては、条約の国内法的効力の上だと考えられている(国際法上は、各国の憲法体系に委ねられていると考えられる)。

なぜなら、第1に条約には国会の承認が得られていること(憲法73条3項等)、第2に国際法は遵守しなければならないこと(憲法98条2項)等の理由による。

前半の「国会による条約の承認には、予算と同様の衆議院の優越が適用され」は正しい。

憲法61条は同法61条2項を準用し、「条約について、参議院で衆議院と異なった議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した条約を受け取った後、国会休会中の期間を除いて30日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。」旨を規定している。

なお、条約は国家間の合意であるが、これが国内法化するには、特別の法律の制定は不要であると考えられている。

法律の委任がなければ、政令によって国民に義務を課し、もしくはその権利を制限することはできないが、緊急の必要がある場合、国会の事後の承認を条件に、そのような定めを政令で行うことは、必ずしも違憲とはいえない。 3.妥当でない。

憲法73条は、「この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。ただし、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。」と規定しているだけで、この例外には全く触れていない。

また、内閣法11条は「政令には、法律の委任がなければ、義務を課し、又は権利を制限する規定を設けることができない。」と規定し、やはり例外規定を置いていない。

したがって、「緊急の必要がある場合、国会の事後の承認を条件に、そのような定めを政令で行うことは、必ずしも違憲とはいえない。」とする部分には何の根拠もない。

最高裁判所は、裁判所の内部規律・司法事務処理に関し規則を制定することができるが、訴訟手続や弁護士に関する定めは法律事項であるから、規則で定めることはできない。 4.妥当でない。

「訴訟に関する手続、弁護士」についても規則で定めることができる。

憲法77条1項は、「最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。」と規定している。

なお、弁護士に関する事項については、職業選択の自由の保障の見地から、弁護士の資格・職務・身分に関する事項は含まないとするのが通説である。

憲法は両議院に対し自律権を認め、議院内部の事項について自主的に議事規則を定める権能を伴与しているが、国会法は、両議院と政府等の関係や議院相互の関係にとどまらず、議院内部の事項をも規定している。 5.妥当である。

憲法58条2項は、「両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。ただし、議員を除名するには、出席議員の2/3以上の多数による議決を必要とする。」と規定し、議院の規則制定権につき定めている。

また、国会法は、両議院と政府等との関係や議院相互の関係にとどまらず、議院内部の事項をも規定している(国会法69条、83条、121条等)。

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