基礎知識の学習
行政書士試験において、一番厄介な科目といえるのが基礎知識です。
行政書士の業務に関し必要な基礎知識科目の得点が満点の40%に満たない(14問中5問以下しか取れない)場合、法令等科目でいくら高得点を出したとしても不合格となってしまうからです。
また、一般知識(政治・経済・社会)においては試験範囲がとても広く、対策をとるのが難しいうえに、行政書士試験専用の一般知識の参考書をしっかり勉強をしても点数に直接結びつくのは1問か2問・・・という具合で、不安を拭い去るほどの参考書はあまり見かけないというのが実情です。
このようなことから、学習時間に見合った点数が取りにくいため、法令等科目に比べあまり勉強しないで本試験に挑む受験生も多いですが、やはりそれは危険というべきでしょう。
対策としては、基礎知識の中でも対応しやすい行政書士法・戸籍法・住民基本台帳法を中心とした「行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令」「情報通信・個人情報保護」「文章理解」を重点的に学習するのが一般的です。
- 一般知識(政治・経済・社会)
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近年、行政書士関連業務であったり、物理測度、地理や小説についてなど、政治経済社会とは直接関係のない分野から出題がされており、的を絞って勉強をすることが困難となっています。
したがって、本試験直前期に入ってから参考書を読んだり問題集を解くのではなく、常日頃から新聞やニュースなどを見聞きし、広く浅く勉強しましょう。
そして試験本番ではこれらの知識を基礎とし、正解そのものを知らなくても現場思考により答えを導き出す力が求められます。
一般知識(政治・経済・社会)については、最低1問は欲しいところです。
- 行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令
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令和6年度の本試験より追加されました。
行政書士法について、平成17年に行った前回の試験内容の見直しに伴う本告示改正以降、法律の目的に「国民の権利利益の実現に資すること」が明記されたほか、行政書士に求められる規範や規律に関する改正がなされている。
また、住民ニーズの多様化に伴う行政手続の複雑化やデジタル社会の進展に伴う行政手続のデジタル化への対応等、行政書士に期待される役割が広がっている。
このような制度の改正、役割の拡大に的確に対応するため、行政書士試験において問うべき「行政書士の業務に関し必要な知識及び能力」について、現行試験に対する各方面からの意見も踏まえ検討が行われたものです。
したがって、出題されるであろう「行政書士法」「戸籍法」「住民基本台帳法」を中心とした法令科目を押さえる必要があります。
今後の基礎知識の得点源として文章理解と同様にメインとなる科目ですので、時間を掛けて取り組みましょう。
学習方法としては、ただひたすらに条文を読み込んだとしても重要論点が把握できず、また似て非なる条文との違いが分かりづらいことから、引っ掛け問題として出題された場合、失点につながるおそれもあるため、合格道場の練習問題または市販の問題集等を活用しながらアウトプットと同時にインプットをすることが効率的です。
- 情報通信・個人情報保護
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近年、情報通信の出題数は1~3問で、範囲が漠然としていることに加え受験年によって得点源としての差があることから、あまり時間を費やすことは得策ではないでしょう。
最低限、インターネット上にあるIT用語辞典などに目を通すことや、合格道場の練習問題、過去問題をやるようにしてください。
行政書士の管轄が総務省であり、総務省は情報通信(ITC政策)を担当していることから、情報通信(ITC政策)に関連するニュースやテレビ特集等の時事ネタには目を通すとよいと思います。
個人情報については、近年において1問しか出題されておりません。こちらも情報通信と同様にあまり時間を費やすことは得策ではないでしょう。
基本的にこの科目は個人情報保護法関連の条文から出題されます。
最低限おさえる法律としては、個人情報保護法、行政機関の保有する情報の公開に関する法律、情報公開・個人情報保護審査会設置法です。
各法律の目的及び定義を必ず覚えましょう。
民間の個人情報保護士認定試験の参考書や問題集を参考にしてもよいかもしれません。
- 文章理解
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文章理解は重要となります。行政書士試験において一般知識は平成18年以降14問出題されており、このうち6問とれればアシきりクリアとなりますが、「文章理解」からの出題3問のうち確実に2問を得点できるようになることは、ある意味合格への必須の条件といえるほどです。
定型の言い回しの知識や語彙力があれば解ける問題は多いですが、語彙力などは一朝一夕で身につくものではないため、新聞や雑誌等の評論やコラム、社説欄などを読む習慣を付けるのも一つです。これらは本文に採用されやすいので、長文を流し読みする訓練にもなります。
合格道場に掲載している練習問題の文章理解に加えて、大学受験や公務員試験用の「文章理解」の教材を使用すると良いかと思います。