平成28年-問15 行政法 行政不服審査法
Lv3
問題 更新:2023-01-30 17:23:52
行政不服審査法における審理員について、妥当な記述はどれか。
- 審理員による審理手続は、処分についての審査請求においてのみなされ、不作為についての審査請求においてはなされない。
- 審理員は、審査庁に所属する職員のうちから指名され、審査庁となるべき行政庁は、審理員となるべき者の名簿を作成するよう努めなければならない。
- 審理員は、処分についての審査請求において、必要があると認める場合には、処分庁に対して、処分の執行停止をすべき旨を命ずることができる。
- 審理員は、審理手続を終結したときは、審理手続の結果に関する調書を作成し、審査庁に提出するが、その中では、審査庁のなすべき裁決に関する意見の記載はなされない。
- 審理員は、行政不服審査法が定める例外に該当する場合を除いて、審理手続を終結するに先立ち、行政不服審査会等に諮問しなければならない。
正解 2
解説
審理員による審理手続は、処分についての審査請求においてのみなされ、不作為についての審査請求においてはなされない。 1.妥当でない
不作為についての審査請求においても(行政不服審査法3条)、審査請求である以上、審理員(行政不服審査法9条)による審理手続が実施される。
審理員は、審査庁に所属する職員のうちから指名され、審査庁となるべき行政庁は、審理員となるべき者の名簿を作成するよう努めなければならない。 2.妥当である
審理員は、審査庁に所属する職員から指名され(行政不服審査法9条1項、2項参照)、審査庁となるべき行政庁は、審理員となるべき者の名簿を作成するよう努めなければならない(行政不服審査法17条)。
審理員は、処分についての審査請求において、必要があると認める場合には、処分庁に対して、処分の執行停止をすべき旨を命ずることができる。 3.妥当でない
審理員は、必要があると認める場合には、審査庁に対し、執行停止をすべき旨の意見書を提出することができるが(行政不服審査法40条)、処分庁に対して、処分の執行停止をすべき旨を命ずることはできない。
なお、意見書が提出された場合、審査庁は速やかに、執行停止をするかどうかを決定しなければならない(行政不服審査法25条7項)。
審理員は、審理手続を終結したときは、審理手続の結果に関する調書を作成し、審査庁に提出するが、その中では、審査庁のなすべき裁決に関する意見の記載はなされない。 4.妥当でない
審理員は、審理手続を終結したときは、遅滞なく、審査庁がすべき裁決に関する意見書を作成し(行政不服審査法42条1項)、これを速やかに、審査庁に提出しなければならない(行政不服審査法42条2項)。
審理員は、いわば裁決の案を審査庁に提出することになる。
審理員は、行政不服審査法が定める例外に該当する場合を除いて、審理手続を終結するに先立ち、行政不服審査会等に諮問しなければならない。 5.妥当でない
行政不服審査会等に諮問するのは審査庁であり、審理員ではない(行政不服審査法43条1項)。
「審査庁」なのか「審理員」なのか、判断できるようにしておきたい。