平成29年-問5 憲法 内閣
Lv3
問題 更新:2023-01-30 15:24:40
内閣に関する次の記述のうち、憲法の規定に照らし、妥当なものはどれか。
- 内閣総理大臣は、国会の同意を得て国務大臣を任命するが、その過半数は国会議員でなければならない。
- 憲法は明文で、閣議により内閣が職務を行うべきことを定めているが、閣議の意思決定方法については規定しておらず、慣例により全員一致で閣議決定が行われてきた。
- 内閣の円滑な職務遂行を保障するために、憲法は明文で、国務大臣はその在任中逮捕されず、また在任中は内閣総理大臣の同意がなければ訴追されない、と規定した。
- 法律および政令には、その執行責任を明確にするため、全て主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。
- 内閣の存立は衆議院の信任に依存するので、内閣は行政権の行使について、参議院に対しては連帯責任を負わない。
正解 4
解説
内閣総理大臣は、国会の同意を得て国務大臣を任命するが、その過半数は国会議員でなければならない。 1.妥当でない。
国会の同意は不要である。
内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。ただし、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない(憲法68条1項)。
憲法は明文で、閣議により内閣が職務を行うべきことを定めているが、閣議の意思決定方法については規定しておらず、慣例により全員一致で閣議決定が行われてきた。 2.妥当でない。
「閣議により内閣が職務を行うことを定めている」という記述は妥当でない。
憲法には、閣議についての規定はない。
後半の、閣議が慣例により全員一致で閣議決定が行われてきたという記述は妥当である。
内閣の円滑な職務遂行を保障するために、憲法は明文で、国務大臣はその在任中逮捕されず、また在任中は内閣総理大臣の同意がなければ訴追されない、と規定した。 3.妥当でない。
「国務大臣の逮捕」については、憲法の明文で規定されていない。
一方、国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。ただし、これがため、訴追の権利は、害されないと規定されている(憲法75条)。
国務大臣の逮捕については争いがあるが、通説は、逮捕の場合も内閣総理大臣の同意が必要であるとする。
法律および政令には、その執行責任を明確にするため、全て主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。 4.妥当である。
法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする(憲法74条)。
主幹の国務大臣には、主に政令については執行責任と同時に制定責任も規定されていると考えられている。
なお、内閣総理大臣の連署は、制定責任だけではなく、主に執行責任を意味しているといえる。
内閣の存立は衆議院の信任に依存するので、内閣は行政権の行使について、参議院に対しては連帯責任を負わない。 5.妥当でない。
参議院に対して連帯責任を負わないとする記述は妥当でない。
内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負う(憲法66条3項)。
なお、国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する(憲法42条)。