平成29年-問6 憲法 財政
Lv2
問題 更新:2023-11-16 19:17:48
次の文章の空欄[ ]に当てはまる語句(ア)と、本文末尾で述べられた考え方(イ)(現在でも通説とされる。)との組合せとして、妥当なものはどれか(旧漢字・旧仮名遣い等は適宜修正した。)。
法の形式はその生産方法によって決定せられる。生産者を異にし、生産手続を異にするに従って異る法の形式が生ずる。国家組織は近代に至っていよいよ複雑となって来たから、国法の形式もそれに応じていよいよ多様に分化してきた・・・。
すべて国庫金の支出は必ず予め定められた準則――これを実質的意味の予算または予算表と呼ぼう――にもとづいてなされることを要し、しかもその予定準則の定立には議会の同意を要することは、近代立憲政に通ずる大原則である。諸外国憲法はかくの如き予算表は「[ ]」の形式をとるべきものとなし、予算表の制定をもって「[ ]」の専属的所管に属せしめている。わが国ではこれと異り「[ ]」の外に「予算」という特殊な形式をみとめ、予算表の制定をもって「予算」の専属的所管に属せしめている。
(出典 宮澤俊義「憲法講義案」1936年から)
(ア) | (イ) | ||
---|---|---|---|
1. | 法律 | 予算法形式説 | |
2. | 法律 | 予算法律説 | |
3. | 議決 | 予算決定説 | |
4. | 命令 | 予算行政説 | |
5. | 議決 | 予算決算説 |
正解 1
解説
ア:法律、イ:予算法形式説
空欄に補充した文章は以下のとおり。
法の形式はその生産方法によって決定せられる。生産者を異にし、生産手続を異にするに従って異る法の形式が生ずる。国家組織は近代に至っていよいよ複雑となって来たから、国法の形式もそれに応じていよいよ多様に分化してきた・・・。
すべて国庫金の支出は必ず予め定められた準則――これを実質的意味の予算または予算表と呼ぼう――にもとづいてなされることを要し、しかもその予定準則の定立には議会の同意を要することは、近代立憲政に通ずる大原則である。諸外国憲法はかくの如き予算表は「[ア:法律]」の形式をとるべきものとなし、予算表の制定をもって「[ア:法律]」の専属的所管に属せしめている。わが国ではこれと異り「[ア:法律]」の外に「予算」という特殊な形式をみとめ、予算表の制定をもって「予算」の専属的所管に属せしめている。
(出典 宮澤俊義「憲法講義案」1936年から)
予算法形式説
予算は、政府を拘束するのみで、一般国民を直接拘束する者ではない等の理由で、日本では「予算は法ではなく、法形式を採用している」とする「予算法形式説」が通説である。