令和2年-問31 民法 債権
Lv3
問題 更新:2024-01-07 12:10:47
Aは、Bに対して金銭債務(以下、「甲債務」という。)を負っていたが、甲債務をCが引き受ける場合(以下、「本件債務引受」という。)に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、誤っているものはどれか。
- 本件債務引受について、BとCとの契約によって併存的債務引受とすることができる。
- 本件債務引受について、AとCとの契約によって併存的債務引受とすることができ、この場合においては、BがCに対して承諾をした時に、その効力が生ずる。
- 本件債務引受について、BとCとの契約によって免責的債務引受とすることができ、この場合においては、BがAに対してその契約をした旨を通知した時に、その効力が生ずる。
- 本件債務引受について、AとCが契約をし、BがCに対して承諾することによって、免責的債務引受とすることができる。
- 本件債務引受については、それが免責的債務引受である場合には、Cは、Aに対して当然に求償権を取得する。
正解 5
解説
本件債務引受について、BとCとの契約によって併存的債務引受とすることができる。 1.正しい
併存的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる(民法470条2項)。
併存的債務引受の契約当事者は、以下の3パターンである。
①債権者と債務者と引受人よる三者契約
②債権者と引受人による場合
③債務者と引受人による場合
②債権者Bと引受人Cによって契約することができるとしているため、正しい。
本件債務引受について、AとCとの契約によって併存的債務引受とすることができ、この場合においては、BがCに対して承諾をした時に、その効力が生ずる。 2.正しい
併存的債務引受の契約当事者は、肢1の3パターンを参照。
債務者と引受人となる者で契約をするときは、債権者が引受人となる者に対して承諾をすることも必要になる(民法470条3項)。
③債務者Aと引受人となる者Cとの契約で、債権者Bが引受人となる者Cに対して承諾をしたときに、その効力が生ずるとしているため、正しい。
本件債務引受について、BとCとの契約によって免責的債務引受とすることができ、この場合においては、BがAに対してその契約をした旨を通知した時に、その効力が生ずる。 3.正しい
併存的債務引受の契約当事者は、肢1の3パターンを参照。
免責的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によって行うときには、債権者が債務者に対してその契約をした旨を通知した時に、その効力を生ずる(民法472条2項)。
②債権者Bと引受人となる者Cとの契約で、債権者Bが債務者Aに対して、その契約をした旨を通知した時に効力が生ずるためとしているため、正しい。
本件債務引受について、AとCが契約をし、BがCに対して承諾することによって、免責的債務引受とすることができる。 4.正しい
併存的債務引受の契約当事者は、肢1の3パターンを参照。
免責的債務引受は、債務者と引受人となる者が契約をし、債権者が引受人となる者に対して承諾をすることによってもすることができる(民法472条3項)。
債務者と引受人となる者が契約をした場合には、債権者が、引受人となる者に対して承諾をすることを要件としている。
③債務者Aと引受人となる者Cとの契約であるので、債権者Bが引受人となる者Cに対して承諾をしたときに、その効力が生ずるため、正しい。
本件債務引受については、それが免責的債務引受である場合には、Cは、Aに対して当然に求償権を取得する。 5.誤り
免責的債務引受の引受人は、債務者に対して求償権を取得しない(民法472条の3)。
「引受人Cは、債務者Aに対して求償権を取得する」としているため、誤りである。