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令和5年-問43 多肢選択式 行政法

Lv2

問題 更新:2024-01-07 21:22:43

次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

処分の取消しの訴え(行政事件訴訟法3条2項)には出訴期間の制限があり、当該処分があったことを知った日又は当該処分の日から一定期間を経過したときは、原則としてすることができない(同法14条1項、2項)。ただし、出訴期間が経過した後でも、当該処分が[ ア ]であれば、当該処分の取消しの訴えとは別の訴えで争うことができる。

そのような訴えとしては複数のものがある。まず、行政事件訴訟法上の法定抗告訴訟としては、[ イ ]がこれに当たる。また、私法上の法律関係に関する訴訟においても処分が[ ア ]か否かが争われ得るところ、この訴えは[ ウ ]と呼ばれ、行政事件訴訟法の一部が準用される。

最高裁判所の判例は、処分が[ ア ]であるというためには、当該処分に[ エ ]な瑕疵がなければならないとする考えを原則としている。

  1. 原始的不能
  2. 行政不服申立て
  3. 外見上客観的に明白
  4. 住民訴訟
  5. 撤回可能
  6. 無効確認の訴え
  7. 不当
  8. 実質的当事者訴訟
  9. 重大かつ明白
  10. 差止めの訴え
  11. 実体的
  12. 仮の救済申立て
  13. 形式的当事者訴訟
  14. 無効
  15. 義務付けの訴え
  16. 重大又は明白
  17. 客観訴訟
  18. 手続的
  19. 争点訴訟
  20. 不作為の違法確認の訴え
  解答&解説

正解

14
6
19
9

解説

ア:14(無効)、イ:6(無効確認の訴え)、ウ:19(争点訴訟)、エ:9(重大かつ明白)

空欄に補充した文章は以下のとおり。

処分の取消しの訴え(行政事件訴訟法3条2項)には出訴期間の制限があり、当該処分があったことを知った日又は当該処分の日から一定期間を経過したときは、原則としてすることができない(同法14条1項、2項)。ただし、出訴期間が経過した後でも、当該処分が[ア:無効]であれば、当該処分の取消しの訴えとは別の訴えで争うことができる。

そのような訴えとしては複数のものがある。まず、行政事件訴訟法上の法定抗告訴訟としては、[イ:無効確認の訴え]がこれに当たる。また、私法上の法律関係に関する訴訟においても処分が[ア:無効]か否かが争われ得るところ、この訴えは[ウ:争点訴訟]と呼ばれ、行政事件訴訟法の一部が準用される。

最高裁判所の判例は、処分が[ア:無効]であるというためには、当該処分に[エ:重大かつ明白]な瑕疵がなければならないとする考えを原則としている。


処分取消しの訴えの出訴期間が経過した後、その処分が無効であれば、別の訴えで争う場合の訴訟類型、その処分が無効である場合の原則についての出題であり、行政事件訴訟法の基本的知識を問う問題である。

ア.無効

行政庁が法律の定めにより、一方的な判断に基づき国民の権利義務その他法的地位を具体的に決定する行為が行政行為である。つまり、公権をもって有無をいわさず、一方的にする行為であって、この行為には、公定力があるため、権限のある国家機関が正式に取り消さない限り有効となる。

しかし、行政行為の瑕疵が重大かつ明白な違反がある場合は、公定力はなく、その行為は無効とされる。

取消訴訟における違法性の中には無効の場合も含まれるため、重大かつ明白な違法性を持つ無効な行政行為についても取消訴訟で争うことができる。

イ.無効確認の訴え

無効確認の訴えとは、簡単にいえば、そもそも無効なものを無効と確認してもらう訴えであるが、本来、存在しない又は無効な行政行為であれば、公定力等の効力もないわけであるから、無視して従わなければ良いということになる。しかし、現実に置き換えて考えた場合、そういかない事は多々ありえる。

例えば、許可権限を有さない行政機関が建設許可を出した場合、その許可が客観的には無効であろうとも裁判所が有権的に判断を下すまでは、有効なように振る舞いその建設は進められることになる。このように無効のゆえ客観的には効力を有しない処分・裁決であっても、その外形があることによって国民の法的地位が侵害されることもあることから、その外形を除去する手続きが無効確認の訴えである。

無効確認の訴えは、行政行為の無効又は不存在を前提に提訴するものであり、無効又は不存在な行政行為には、その効力として公定力が生じず、不可争力も生じないため、取消訴訟の出訴期間に関する規定を準用しておらず、また、独自での規定もないため、出訴期間の制限をうけない(行政事件訴訟法14条1項、行政事件訴訟法38条)が、あまりに長期間が経過している場合などでは、信義則に違反するとされることはありうる。

ウ.争点訴訟

私法上の法律関係に関する民事訴訟であるが、その先決問題として処分若しくは裁決の存否、又は処分若しくは裁決の効力の有無が争われているものを争点訴訟という(行政事件訴訟法45条1項)。

例えば、新地主に対する旧地主の所有権確認の訴えにおいて、その先決問題として農地買収処分の無効が争点となっている場合などである。

行政事件訴訟法では「処分の効力等を争点とする訴訟」として、争点訴訟の規定をおいているが、あくまでも、民事訴訟である。

エ.重大かつ明白

行政行為の瑕疵が重大かつ明白な違反がある場合は、その行為は無効とされる。この重大かつ明白な違反と言い得るには、その行為に内在する瑕疵が「重大な」法規違反であるだけでは足らず、瑕疵の存在が外観上「明白」であることが必要である(最判昭和36年3月7日)。

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