令和5年-問48 基礎知識 一般知識Ⅰ
Lv4
問題 更新:2024-01-07 21:26:27
日本のテロ(テロリズム)対策に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。
- 日本が締結したテロ防止に関連する条約として最も古いものは、1970年締結の「航空機内で行われた犯罪その他ある種の行為に関する条約」(航空機内の犯罪防止条約)である。
- 2001年9月11日にアメリカで発生した同時多発テロ事件をきっかけとして、通称「テロ対策特別措置法」 *1が制定された。
- 2015年9月、サイバーテロ対策の一環として「サイバーセキュリティ基本法」に基づき、サイバーセキュリティ戦略が閣議決定された。
- 国際組織犯罪防止条約の締結に向けた「組織犯罪処罰法」 *2の2017年の改正として、いわゆるテロ等準備罪が新設された。
- 2022年7月8日に奈良県で発生した安倍晋三・元首相銃撃事件をきっかけとして、内閣府に「テロ対策庁」が設置された。
(注)
*1 平成13年9月11日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法
*2 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律
正解 5
解説
日本が締結したテロ防止に関連する条約として最も古いものは、1970年締結の「航空機内で行われた犯罪その他ある種の行為に関する条約」(航空機内の犯罪防止条約)である。 1.正しい
日本は、出題された2023年現在13本のテロ防止関連諸条約を締結している。
最も古いものは、1970年締結の「航空機内で行われた犯罪その他ある種の行為に関する条約(航空機内の犯罪防止条約」で、航空機内で行われた犯罪の裁判権、これらを取り締まるための機長の権限等につき規定している。
一定のテロリズム行為を国内法上の犯罪とし、その犯人の処罰、引渡し等を行うことを締約国に義務付けることにより、最終的にはいずれかの国で犯人を処罰し得る国際的な体制がとられることになるため、国際的なテロリズムの行為の防止に関する国際協力の強化に資するものである。
2001年9月11日にアメリカで発生した同時多発テロ事件をきっかけとして、通称「テロ対策特別措置法」 *1が制定された。 2.正しい
「テロ対策特別措置法」は、2001年9月11日に米国で発生した同時多発テロが国連安保理決議1368において国際の平和と安全に対する脅威と認められたことなどを踏まえ、日本が国際的なテロリズムの防止・根絶のための国際社会の取組に積極的かつ主体的に寄与することを目的として制定された法律である。
2015年9月、サイバーテロ対策の一環として「サイバーセキュリティ基本法」に基づき、サイバーセキュリティ戦略が閣議決定された。 3.正しい
「サイバーセキュリティ基本法」は、サイバーセキュリティに関する施策を総合的かつ効率的に推進するため、基本理念を定め、国の責務等を明らかにし、サイバーセキュリティ戦略の策定その他当該施策の基本となる事項等を規定している。
国際組織犯罪防止条約の締結に向けた「組織犯罪処罰法」 *2の2017年の改正として、いわゆるテロ等準備罪が新設された。 4.正しい
「国際組織犯罪防止条約」は、犯罪を実行することについての合意(計画)か、または犯罪組織の活動への参加を処罰することを義務付けており、国際組織犯罪防止条約に入るためには、テロのような組織犯罪について、実行に着手する前の計画・準備の段階で処罰する「テロ等準備罪」の新設の必要性があった。
2022年7月8日に奈良県で発生した安倍晋三・元首相銃撃事件をきっかけとして、内閣府に「テロ対策庁」が設置された。 5.誤り
出題された2023年現在、そのような機関は存在しない。
なお、府・省・庁については行政法テキスト5を参照。