平成27年-問11 行政法 行政手続法
Lv2
問題 更新:2023-01-30 18:42:32
行政手続法による意見公募手続につき、妥当な記述はどれか。
- 意見公募手続に関する規定は、地方公共団体による命令等の制定については適用されないこととされているが、地方公共団体は、命令等の制定について、公正の確保と透明性の向上を確保するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。
- 意見公募手続を実施して命令等を定めた場合には、当該命令等の公布と同時期に、結果を公示しなければならないが、意見の提出がなかったときは、その旨の公示は必要とされない。
- 意見公募手続においては、広く一般の意見が求められ、何人でも意見を提出することができるが、当該命令等について、特別の利害関係を有する者に対しては、意見の提出を個別に求めなければならない。
- 意見公募手続において提出された意見は、当該命令等を定めるに際して十分に考慮されなければならず、考慮されなかった意見については、その理由が意見の提出者に個別に通知される。
- 意見公募手続の対象である命令等には、法律に基づく命令又は規則のほか、審査基準や処分基準など、処分をするかどうかを判断する基準は含まれるが、行政指導に関する指針は含まれない。
正解 1
解説
意見公募手続に関する規定は、地方公共団体による命令等の制定については適用されないこととされているが、地方公共団体は、命令等の制定について、公正の確保と透明性の向上を確保するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。 1.妥当である。
行政手続法3条3項は「地方公共団体の機関が命令等を定める行為については、第6章(意見公募手続等)の規定は、適用しない」としているが、行政手続法46条は「地方公共団体は、3条3項において前章(第6章の意見公募手続等)の規定を適用しないこととされた命令等を定める行為に関する手続について、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならない」としている。
地方公共団体は、それぞれ行政手続条例を定めて対応している。
意見公募手続を実施して命令等を定めた場合には、当該命令等の公布と同時期に、結果を公示しなければならないが、意見の提出がなかったときは、その旨の公示は必要とされない。 2.妥当でない。
提出意見がなかった場合にはその旨を公示する必要がある。
命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定めた場合には、当該命令等の公布と同時期に、提出意見(提出意見がなかった場合にあっては、その旨)を公示しなければならない(行政手続法43条1項3号)。
意見公募手続においては、広く一般の意見が求められ、何人でも意見を提出することができるが、当該命令等について、特別の利害関係を有する者に対しては、意見の提出を個別に求めなければならない。 3.妥当でない。
行政手続法39条1項は「命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案…及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見の提出先及び意見の提出のための期間を定めて広く一般の意見を求めなければならない」としているにすぎず、特別の利害関係を有する者に対して意見提出を個別に求めることは規定していない。
意見公募手続において提出された意見は、当該命令等を定めるに際して十分に考慮されなければならず、考慮されなかった意見については、その理由が意見の提出者に個別に通知される。 4.妥当でない。
考慮されなかった提出意見につきその理由の個別の通知をしなければならないとする規定はない。
命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定める場合には、意見提出期間内に当該命令等制定機関に対し提出された当該命令等の案についての意見を十分に考慮しなければならない(行政手続法42条)。
そして、命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定めた場合には、当該命令等の公布と同時期に、提出意見を考慮した結果及びその理由を公示しなければならない(行政手続法43条1項4号)。
意見公募手続の対象である命令等には、法律に基づく命令又は規則のほか、審査基準や処分基準など、処分をするかどうかを判断する基準は含まれるが、行政指導に関する指針は含まれない。 5.妥当でない。
行政指導指針も含まれる。
行政手続法2条8号に規定される「命令等」の定義は、「法律に基づく命令又は規則」「審査基準」「処分基準」「行政指導指針」とされている。