平成27年-問15改題 行政法 行政不服審査法
Lv2
問題 更新:2023-01-30 18:47:54
処分についての審査請求に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 審査請求の審理は、書面によるのが原則であるが、申立人の申立てがあった場合には、審理員は、申立人に口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。
- 審査請求は、行政の適正な運営を確保することを目的とするため、一般概括主義がとられており、国会および裁判所が行う処分以外には、適用除外とされている処分はない。
- 審査請求は、行政の適正な運営を確保することを目的とするため、対象となる処分に利害関係を有さない者であっても、不服申立てができる期間であれば、これを行うことができる。
- 審査請求は、簡易迅速に国民の権利利益の救済を図るための制度であるから、審査請求が行われた場合には、処分の効力は、裁決が行われるまで停止する。
- 審査請求は、簡易迅速に国民の権利利益の救済を図るための制度であるから、審査請求に対する審査庁の判断が一定期間内に示されない場合、審査請求が審査庁によって認容されたとみなされる。
正解 1
解説
審査請求の審理は、書面によるのが原則であるが、申立人の申立てがあった場合には、審理員は、申立人に口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。 1.正しい。
審査請求人又は参加人の申立てがあった場合には、審理員は、当該申立てをした者に口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えなければならない(行政不服審査法31条)。
31条の規定は、審理段階の話なので、19条の「審査請求は、他の法律(条例に基づく処分については、条例)に口頭ですることができる旨の定めがある場合を除き、政令で定めるところにより、審査請求書を提出してしなければならない」とする規定と対比して押さえて欲しい。
審査請求は、行政の適正な運営を確保することを目的とするため、一般概括主義がとられており、国会および裁判所が行う処分以外には、適用除外とされている処分はない。 2.誤り。
一般概括主義が採られているとする点では正しいが、国会および裁判所が行う処分以外にも、教育等の目的を達成するために行われる処分(行政不服審査法7条8項)や学識技能に関する試験又は検定の結果についての処分(行政不服審査法7条11項)等についても適用除外とされている。
審査請求は、行政の適正な運営を確保することを目的とするため、対象となる処分に利害関係を有さない者であっても、不服申立てができる期間であれば、これを行うことができる。 3.誤り。
判例は、不服申立適格を有する者につき、「当該処分について不服申立をする法律上の利益がある者、すなわち、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者(最判昭和53年3月14日)」と判示しており、不服申立てをするに際して何ら法律上の利益が認められない者は、審査請求をすることは認められない。
審査請求は、簡易迅速に国民の権利利益の救済を図るための制度であるから、審査請求が行われた場合には、処分の効力は、裁決が行われるまで停止する。 4.誤り。
審査請求は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない(行政不服審査法25条/執行不停止原則)。
審査請求をしただけでは、処分の執行は停止しない。
不服申立ての場合、職権による執行停止もあり得るが、原則として執行停止の申立てをした上で、審査庁が決定する必要がある。
審査請求は、簡易迅速に国民の権利利益の救済を図るための制度であるから、審査請求に対する審査庁の判断が一定期間内に示されない場合、審査請求が審査庁によって認容されたとみなされる。 5.誤り。
このような制度は存在しない。
審査請求に対する審査庁の判断が一定期間なされない場合、取消訴訟に移行することもできる。